相続の新制度として2020年4月から始まる配偶者居住権。これは、相続対象の家を居住権と所有権とに分け、配偶者が居住権だけを相続できる制度です。この場合、家の所有権は別の共同相続人が相続します。居住権を持つ配偶者は所有権を持たずともこの家に住み続けることができます。(→[SK029:相続]配偶者居住権)
さて、家に住み続けていると、様々な修繕・維持費がかかります。場合によってはリフォーム・改築などが行われることもあるでしょう。そこで問題となるのは、いったい誰がこれらの費用を負担することになるのかということです。
もし自分が所有する家に自分で住んでいるのであれば、家に関して自分が費用負担をすることに何の問題もありません。しかし今回は居住権と所有権が別の人のもとにあります。この場合の費用負担者は、以下のように考えることになっています。
<費用負担者>
●修繕・維持費 ⇒ 居住権を持つ者
●リフォーム・改築費 ⇒ 所有権を持つ者
なお、修繕・維持費とは屋根やトイレなど、もともと家として不可欠だったものが壊れてしまった時に、元の状態に戻す費用のことを指します。他方、リフォーム・改築費とは屋根にソーラーパネルを新設したりトイレをウォッシュレットに取り替えたりするといった、元の状態を超える価値を加える費用のことを指します。