[KJ001:建設業許可]事業年度終了届出

建設業における『事業年度終了届出』は『変更届出(決算)』とも呼ばれることからも分かるように、変更届出の一種です。一年間の事業結果をまとめた報告書ともいえるこの届出は、毎年の決算タイミング毎に必ず作成し行政庁へ提出しなければなりません。

建設業法11条において『届出済みの内容に変更があったときは、期日内に届出をすること』が義務付けられています。そこでは事業年度終了届出についても定められており、届出期限は『決算日から4カ月以内』とされています。

4カ月の届出期間があるとはいえ、事業年度終了届出はそれなりにボリュームがあり手間もかかります。できるだけ早めに準備にとりかかりましょう。

[KQ012:建設業許可]誠実性

数多くある業種の中でもとりわけ建設業は、お客様や関係者の一生をも左右しかねない重大な仕事を担うことが多い業種です。

 

<建設業によくみられる特徴>

◆契約単価が高い
マイホームの建築やダムの建設など、個人にとっても企業や行政にとっても非常に高額な契約を行なうことが多い業種です。もし不正を働くような不誠実な者を業者として許可してしまうと、その被害は大変な額にのぼってしまいます。

◆とにかく安全が第一である
建設業は人々の安全に直接関わる仕事が多い業種です。文書を改ざんして安全基準を満たしているかのように虚偽の申告をしたり、見えない部分で手抜き工事をするような不誠実な者を業者として許可してしまうと、多くの人々をケガや死亡事故に巻き込みかねません。

 

そこで国や行政庁が建設業許可を与えるにあたっては、慎重に厳重な審査を行って、このような不誠実な者にお墨付きを与えることのないようにしなければなりません。このことは下記のように建設業法でも定義されています。

◆建設業法7条三
法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。

よく見るとこの条文には対象者のことも書かれています。簡単に言えば「法人の場合はその法人と役員そして営業所の所長だけである。」「個人の場合は本人と支配人だけである。」という定義となります。さらに言い換えると、「対象者はひとりで契約を結ぶことができる立場の人である」ということです。

なお、一般の従業員についてはそこまでは求められていないということになるので、許可申請をする際には留意するといいでしょう。

[KQ011:建設業許可]財産的基礎

建設業許可を受けるためには人的要件の他に「財産的基礎」も要求されます。財産的基礎とは一定水準以上の規模の建設業を継続的に営むことができるであろう資金力の事であり、一般建設業許可と特定建設業許可で要件が異なります。

 

◆一般建設業許可における財産的基礎要件

1.500万円以上の自己資本

2.500万円以上の資金調達能力

3.建設業許可業者として直近過去5年間の営業継続の実績

上記1.~3.の全てを満たす必要はなく、いずれかひとつの要件を満たせばOKです。

1.は直前の決算書で証明します。2.は金融機関発行の残高証明書で証明します。3.を満たしているのであれば免許の更新にはこの要件を使うと良いでしょう。

なお、特定建設業許可は財産的基礎要件が厳しい割には必要とされる機会が多くありません。まずは一般建設業許可を申請することをお勧めします。

[KQ010:建設業許可]専任技術者

建設業許可の人的要件のうちのひとつに、「専任技術者」が挙げられます。専任技術者とは、施工工事に必要な一定の技能を持つ者といえます。専任技術者となれる者については建設業法7条で定めがあります。

★専任技術者となれる者

・申請する建設業につくことができる国家資格を持っている

・申請する建設業について指定された学科を卒業し、かつ実務経験もある

・申請する建設業にかかる建設工事について、以前働いていた会社などで10年以上の実務経験がある

 

専任技術者は建設業種ごとに、しかも各営業所ごとに必要ですが、一人で複数業種の専任技術者になることは認められています。どの許可を申請するかによって必要となる資格や卒業学科が異なるので注意しましょう。(詳細は国土交通省のホームページにある「指定学科一覧」を参照してください。)

[KQ009:建設業許可]経営業務の管理責任者

建設業許可を受ける際の「人的要件」として、「経営業務の管理責任者」が求められています。これは建設業法で定められています。では、経営業務の管理責任者とはいったいどのような人のことを指すのでしょうか。

経営業務の管理責任者とは、「建築業の」経営について熟知している経営責任者のことです。それにふさわしい人物かどうかはその適合基準により判断されます。

 

★経営業務の管理責任者の適合基準

①申請する建設業に関し5年以上経営業務の管理を経験していること

②申請する建設業以外の業種に関し7年以上経営業務の管理を経験していること

のいずれかが必要です。

 

また、管理責任者は常勤である必要があります。名前を貸しているだけで実体のない人物は認められません。常勤であれば社長や代表取締役ではない一般の役員でも認められます。

[KQ008:建設業許可]許可要件の全体構成

建設業は人々の暮らしにおける衣食住の「住」を担う重要な業種です。建設業は他の業種に比べ、ひとつの契約あたりの費用や時間が相当かかりますし、万一、廃業してしまうと関係者に与えてしまう損害も非常に大きくなります。

そのため建設業許可を取得するためには「人的要件」「財産的要件」「物的要件」のすべてを厳格に満たしている健全な建設業者であることを証明しなくてはなりません。

★人的要件

・経営業務の管理責任者

・専任技術者

・誠実性

・欠格要件に該当しない

 

★財産的要件

・財産的基礎

 

★物的要件

・営業所

[KQ007:建設業許可]建設業29業種

建設工事の種類は建設業法により定められています。平成30年8月時点では、2種類の「一式工事」と27種類の「専門工事」の計29種類が定められています。

<一式工事(2種類)>

土木一式工事 (土)
建築一式工事 (建)

 

<専門工事(27種類)>

大工工事 (大)
左官工事 (左)
とび・土工・コンクリート工事 (と)
石工事 (石)
屋根工事 (屋)
電気工事 (電)
管工事 (管)
タイル・れんが・ブロック工事 (タ)
鋼構造物工事 (鋼)
鉄筋工事 (筋)
舗装工事 (舗)
しゅんせつ工事 (しゅ)
板金工事 (板)
ガラス工事 (ガ)
塗装工事 (塗)
防水工事 (防)
内装仕上工事 (内)
機械器具設置工事 (機)
熱絶縁工事 (絶)
電気通信工事 (通)
造園工事 (園)
さく井工事 (井)
建具工事 (具)
水道施設工事 (水)
消防施設工事 (消)
清掃施設工事 (清)
解体工事(解) (※)

(※)「解体工事」は平成28年6月1日以降に追加された専門工事

 

一定規模以上の工事を請け負うためには、上記の工事の種類ごとに別々の許可が必要となります。例えば「石工事」と「タイル・れんが・ブロック工事」や、「電気工事」と「電気通信工事」などはそれぞれ似ているように感じるかもしれませんが別の業種です。請け負う工事の内容と必要となる許可の種類を間違えないように気を付けましょう。

また、お客様からよく「一式工事の許可だけ取れば、残りの専門工事の許可は取らなくても、すべての業種の工事を請け負うことができるんですよね?」と訊かれます。答えは「いいえ」です。一式工事は専門工事を内包しているわけではありません。一式工事の「一式」という言葉に惑わされないようにしましょう。

[KQ006:建設業許可]一般許可と特定許可

建設業許可は、取り扱う工事規模と受注形態によって2種類に大別されます。

1.一般建設業許可

2.特定建設業許可

2.は「自社が元請け」かつ「1件あたり3000万円以上(建築一式の場合は4500万円以上)の下請け工事を発注する」場合にのみ必要な許可です。

当然ながら、2.は1.に比べて許可要件が厳しく申請手続きも煩雑で取得までの期間も長くなります。

特に必要がない限り、一般建設業許可を取得すれば十分だと思います。

[KQ005:建設業許可]知事免許と大臣免許

建設業許可免許は許可を受ける主体の違いによって2種類に大別できます。

1.都道府県知事免許(知事免許)

2.国土交通大臣免許(大臣免許)

上記二つの免許に優劣はありません。許可内容に違いはありませんので、通常は知事免許を申請することになります。

ただし、建設業の営業所が複数あって、それらが複数の都道府県に点在している場合には大臣免許が必要となります。

そこで間違えやすいのは、『複数の営業所があるが、すべて同じ都道府県内に存在している場合』です。この場合は大臣免許ではなく、知事免許を申請します。

話は変わりますが、この考え方は宅建業免許にも通じています。宅建試験での頻出ポイントなので、受験される方はいちど確認しておきましょう。

[KQ004:建設業許可]建設業許可を受けるメリット

建設業許可のメリットは主に下記の二つです。

1.工事金額の制限がなくなる

例えば一件あたり500万円を超えるような大きな工事も請け負うことができるようになるので、仕事の幅が広がります。

 

2.社会的信用を得やすくなる

建設業許可を受けていると、「大きな工事も受けられるしっかりとした会社である」と、国や都道府県の行政庁からお墨付きをもらっていることになります。行政庁によるお墨付きは社会的信用に直結し、結果として企業価値を高めます。このため、元請け業者が下請け業者を選定するにあたり、建設業許可の有無を重視するケースも少なからず見受けられます。