[SK064:相続]故人の公的年金の受給停止手続き

年金(老齢年金などの公的年金)受給者が亡くなったときには、3カ月以内に遺族が年金給付の停止手続きを行ないます。この手続きを怠ると、過払いとなった年金の返還手続きが、あとになってから発生してしまいます。

受給停止手続きの際には、日本年金機構のHPからダウンロードできる『年金受給権者死亡届(報告書)』(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/kyotsu/20140421-15.html)を記入して年金事務所(街角の年金相談センター)へ提出します。用紙には故人が受給していた年金の『基礎年金番号』と『年金コード』を記入することになるので用意しておくといいでしょう。なお、日本年金機構にマイナンバーを収録されている方は、この死亡届けの手続きを省略することができます。

[SK063:相続]医療保険の死亡給付対象

後期高齢者医療制度・国民健康保険、そして健康保険では、被保険者や被扶養者が亡くなった場合、条件に応じて下記のいずれかの死亡給付金が支給されます。これらの死亡給付金は請求事由の発生から2年以内に自分から請求しないと受給できません。

 

■医療保険から受給できる死亡給付の種類

・葬祭費   ⇒ 3万円~10万円程度。
         後期高齢者医療制度または国民健康保険
         より支給。
         葬祭の喪主が受給できる。

・埋葬料   ⇒ 5万円。
         健康保険より支給。
         故人によって生計を維持されていた人が
         受給できる。

・埋葬費   ⇒ 5万円までの実費。
         健康保険より支給。
         実際に埋葬を行った人が受給できる。

・家族埋葬料 ⇒ 5万円。
         健康保険より支給。
         故人が健康保険被保険者の被扶養者
         だった場合に被保険者が受給できる。

[SK062:相続]死亡時の医療関連の返却物

死亡すると健康保険等の被保険者資格が無くなります。そのため、市区町村や健康保険組合等に被保険者証を返却しなくてはなりません。

医療・福祉関連の返却物は主に次のものが挙げられます。

□ 国民健康保険被保険者証

□ 国民健康保険高齢受給者証

□ 福祉医療費医療証

□ 介護保険被保険者証

□ 後期高齢者医療被保険者証

□ 身体障害者手帳

これらの返却物は役所によって異なることがあります。返却物が一通りそろったら、返却に出向く前に役所へ確認の電話を入れておくことをお勧めします。

[SK061:相続]死亡時の健康保険証の返却

公的医療保険には『国民健康保険』、『健康保険』、『後期高齢者医療制度』があります。これらの被保険者の資格は死亡により喪失します。

資格を喪失した場合、役場や健康保険組合などに被保険証を返却します。健康保険の場合、事業主経由で資格喪失届を提出しますので、その際に被保険証も返却します。

後期高齢者受給者証をはじめとする各種資格証も役場へ出向いて返却します。返却するものに漏れがあると再度役場へ出向かなくてはならなくなるので、出向く前に役場に問い合わせをして確認しておくとよいでしょう。

[SK060:相続]社会保険の種類

普段私たちが「社会保険」と呼んでいる公的医療保険は、大きく分けて次の3種類に分けられます。

①「国民健康保険」
 ⇒自営業者や無職の人が加入する保険

②「健康保険」/「共済組合」
 ⇒サラリーマン/公務員が加入する保険

③「後期高齢者医療保険」
 ⇒75歳以上の人が加入する保険

これらの保険はいずれも死亡により被保険者資格を失うことになります。これらの届出は被保険者の死亡時から3ヵ月以内となっています。相続手続きが発生した時には早めに社会保険の届出も済ませておきましょう。

[SK059:相続]普通自動車の移転登録に必要なもの

動産の相続は現物の引き渡しを受ければ完了します。ただし、普通自動車については当てはまりません。

普通自動車の場合、相続による名義変更を行うために「移転登録」の手続きを行う必要があります。相続したクルマを運転するときはもちろん、他人に譲渡したり、クルマ自体を廃車にする際にも、先に移転登録手続きを終えておかなくてはなりません。

普通自動車の移転登録手続きは運輸局で行います。クルマを相続した者は自分の住所地を管轄する運輸支局などで15日以内に手続きを済ませましょう。

■普通自動車の移転登録手続きで必要となるものの例
・車検証
・被相続人の戸籍謄本
・遺産分割協議書または遺言書
・相続人全員の印鑑証明書

[SK058:相続]株式の名義変更に必要なもの

株式を相続で承継したとしても、名義変更をしていなければ、株主としての権利を行使できません。このままでは配当金の受取もできないことになるので、早めに名義変更を行いましょう。

株式の名義変更は各証券会社の窓口に申し出ることになります。そこで承継者の口座を開設し株を移管します。

相続手続書類は各証券会社ごと異なるので窓口で確認しましょう。例えば協議分割のケースで一般的に必要となる書類は、

・遺産分割協議書

・被相続人の戸籍謄本

・相続人全員の戸籍謄本

・相続人全員の印鑑証明書

などとなります

[SK057:相続]遺留分減殺請求制度の見直し

2018年7月に民法が改正されたことにより、2019年7月1日から、遺留分減殺請求制度が見直されました。

改正前の制度では、遺留分減殺請求権の行使によって「共有」状態が当然に生じていたため、これが事業承継の支障になっている、という指摘がありました。

例えば、相続により遺言に基づいて長男への事業承継が発生したとします。ここで他の相続人たちが遺留分減殺請求権を行使したとします。すると長男が承継した会社の土地や建物に、他の相続人たちによる複雑な共有関係が入り込んでしまうこともあったわけです。これでは長男も困りますし、長男へ遺贈した者の意思も尊重されていません。

そこで今回の法改正では、遺留分減殺請求によって生ずる権利は「金銭債権」と定められました。このため、遺留分減殺請求権の行使によって「共有」状態が当然に生ずることを回避できるようになったのです。

先程の遺留分減殺請求の例でいきますと、他の相続人達については、長男が承継した会社の土地や建物に関する共有状態が当然に生ずることにはならなくなりました。その代わり、自分の持ち分を長男に「金銭」で請求することはできる、というわけです。

[SK056:相続]遺産分割に関する民法改正

被相続人が亡くなったあとに相続人が複数いる場合、これら共同相続人全員で遺産分割協議を行って遺産分割を行います。

ここで、被相続人である父親の預金口座のキャッシュカードを管理していた長男がいたとします。そして、父親の預金が他の共同相続人達へ遺産分割されてしまうのを嫌がった彼が、父親の預金を勝手に引き出して、さっさと使い込んでしまったとします。さてこの場合、そのおカネは遺産分割の対象とできるのでしょうか。

これまでの民法では、相続開始後に処分されてしまった財産は遺産分割の対象から「外す」こととされていました。今回のように、相続開始後に長男によって使い込まれてしまったおカネも例外ではありません。そのため他の共同相続人にとって大変不公平な制度でした。

そこで2019年7月1日に民法の相続法が改正されました。その中で「遺産分割前に遺産に該当する財産が処分されてしまったとしても、共同相続人全員の同意があれば、その財産を遺産分割の対象に含むことができる」ことになりました。そして(ここがポイントなのですが)、この共同相続人には財産を処分した当人を含める必要がありません。つまり今回のケースでは、(使い込みをした)長男の同意がなくとも、他の共同相続人たちが全員同意すれば遺産分割が可能になったというわけです。

[SK055:相続]銀行口座の名義変更に必要なもの

銀行等の金融口座を相続した場合、口座の名義変更(あるいは解約)をすみやかに行うことになります。その際には、各銀行等の窓口に相談するのが確実ですが、いずれの金融機関においても『相続届』に準じた書類を提出するよう求められます。

この書類には、自分だけでなく相続人全員の『署名』と『実印』による押印を要求されることがほとんどです。実印には『印鑑証明書』も必要です。

その他にも、『亡くなった被相続人と相続人全員の戸籍謄本』や『口座の通帳・カード』が必要ですし、『遺言書』や『遺産分割協議書』を要求されることもあります。

前述したように、相続人全員の協力が必要となるので、口座の名義変更は思った以上に面倒です。なるべく手間をかけなくて済むように段取りよく進めていきましょう。