[GG004:外国人雇用]労働力不足はむしろチャンス

需要より供給が不足している時には供給側の値段が上がります。ですから現在のように労働人口が足りない状況下では、企業は賃金や職場環境などの待遇改善を積極的に進めないと、いい人材がなかなか集まりません。

もちろん待遇改善にはコストがかかり簡単にはできません。しかし賃金を抑えたいからといって外国人労働者を国外から招き入れてばかりですと、今度は社会保障などの国家システム全体への影響が大きくなり過ぎてしまいます。

それではどうすればよいのでしょうか。

ここで久留米大学の塚崎公義教授は、『日本の労働力不足を解消するためには安い外国人労働者を増やすよりもむしろ、日本人の賃金を上げる方が効果的である』と唱えています。これには一瞬「??」となるかもしれませんが、ご紹介すると次の通りです。

塚崎教授が唱える本来のあるべきサイクルとは、

①企業の内部留保ばかりが増えて、賃金が上がらないのはおかしい

②政府が強制的に最低賃金を上げる

③高い賃金を支払えない企業が徐々に淘汰される

④企業努力の結果、生産性の高い企業が生き残る

⑤③の企業で働いていた労働力が④の企業に流れる

⑥賃金が高止まりで維持される

⑦生き残った企業間でさらに高いレベルの競争が起きる

⑧企業はより良い製品やサービスが提供できるようになる

⑨徐々にインフレ傾向になり景気が上向く

⑩需要が高まり設備投資や雇用がますます増える

⑪企業の生産性がさらにUPし企業体力もUPする

⑫さらに高い賃金で優れた人材を確保でき国際競争力があがる

⑬日本経済が継続的に活性化される

安い労働力を求めすぎると日本経済の活性化が遅れ、結果的に経営者にとっても好ましくない状況になるのかもしれません。

[GG003:外国人雇用]経営者サイドからみた新在留資格制度

2019年4月から開始予定の外国人労働者の受入枠拡大は、「少子高齢化で労働力が不足して困っている。でも賃金の上昇はなるべく抑えたい。」という経営者サイドの切実な要求に応える特効薬、という側面があります。

今回のようにより多くの外国人が働ける制度を整備すれば、たしかに短期間で人手不足を解消できるかのように見えます。試算では初年度だけでも、4万人の外国人労働者を受け入れることができるとしています。そして毎年継続することで数万人ずつ外国人労働者の人口が増えていきます。このように人材確保の選択肢が広がるので、特に人手不足に悩まされている業界の経営者層からは歓迎されることでしょう。

[GG002:外国人雇用]新在留資格と移民政策

新在留資格である「特定技能」には1号と2号があります。特定技能1号は、在留期限が5年で家族帯同ができません。特定技能2号は、在留期間が更新可能(上限なし)で家族帯同が可能となっています。

このため、野党のみならず自民党の一部の議員からも、「特定技能2号は事実上の移民政策ではないのか」との意見が出されています。現時点では詳細はほとんど固まっておらず、これから議論をして具体的な内容を省令で定めるようです。私も引き続き注目していきたいと思います。

[GG001:外国人雇用]新在留資格「特定技能」の概要

政府が2019年4月から新しい在留資格である「特定技能」を導入して外国人労働者の受入枠を拡大しようとしている、というニュースを近頃よく耳にします。最近では11月2日にも、特定技能の創設を含む出入国法の改正案の閣議決定が行われたばかりです。

在留資格として要求される特定技能には、基本的な技能となる「特定技能1号」と、熟練した技能となる「特定技能2号」の2種類があります。

2号には建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業の5業種が対象予定です。1号にはこれらの業種に加え、介護、ビルクリーニング、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業が対象となる予定です。