[DN001:内容証明]クーリング・オフ

特定商取引法にある「クーリング・オフ」制度。これは消費者がある一定の契約をした場合に、ある一定の期間内であれば、契約締結時にさかのぼって契約を解除することができる制度です。

ところでクーリング・オフというと、高齢者が、自宅を訪ねてきた悪徳業者にだまされて高額な商品を購入してしまったときの契約解除制度だというイメージが定着しているように思いますが、実はそれだけではありません。

英会話教室やパソコン教室、エステティックサロンや結婚相談サービスのような、長期継続的にサービスを提供し、かつその料金が高額になる取引もクーリング・オフの対象になります。

これらを「特定継続的役務提供」と呼びます。例えばエステティックサロンであればサービスの提供期間がひと月を超えかつ料金が5万円を超える取引がクーリング・オフの対象になります。

無料体験レッスンを受けにいっただけなのにいつの間にか言いくるめられて入会金30万円を支払って毎月3万円の12か月コースを契約してしまったが、家に帰ってよくよく考えてみると「なんでこんな高額な買い物をしてしまったんだろう」と後悔した場合などのイメージです。このような場合でもクーリング・オフができます。

このようにクーリング・オフは消費者保護に大変有効な制度ですが期間制限があり、「法律で定められた契約書面を受け取った日を含めて8日間」に限り可能です。さらにクーリング・オフは口頭ではできません。そして消費者と違って業者はその辺をよく理解しています。

ですから電話で「やっぱりやめたいんですが」などとキャンセルを申し入れても「今やめるとすごくもったいないですよ」「もう少しがんばってみましょう」などといって、なんとかして8日間のうちにクーリング・オフされないように、のらりくらりと引き延ばしをして解約書を送付してこない業者もあります。

このように解約が困難な場合はすぐに行政書士に「内容証明書の作成」を依頼しましょう。8日間経ってしまう前に「クーリング・オフが可能な期間内に契約解除の意思表示をした」ことを内容証明書に起こして内容証明郵便で業者に送れば間に合います。

これで原則としてクーリング・オフが成立し、業者は解約手続きを行なわなくてはならなくなります。結果、この高額な契約を最初からなかったことにし、全額返金を受けることができるようになるのです。

[KQ008:建設業許可]許可要件の全体構成

建設業は人々の暮らしにおける衣食住の「住」を担う重要な業種です。建設業は他の業種に比べ、ひとつの契約あたりの費用や時間が相当かかりますし、万一、廃業してしまうと関係者に与えてしまう損害も非常に大きくなります。

そのため建設業許可を取得するためには「人的要件」「財産的要件」「物的要件」のすべてを厳格に満たしている健全な建設業者であることを証明しなくてはなりません。

★人的要件

・経営業務の管理責任者

・専任技術者

・誠実性

・欠格要件に該当しない

 

★財産的要件

・財産的基礎

 

★物的要件

・営業所

[SK014:相続]特別受益の持戻しの免除

例えば親が自分の息子のうちのひとりに独立開業資金を援助して応援したとします。この後もし親が亡くなった場合には、この開業資金は「生前贈与」として扱われます。

生前贈与には「持戻し(もちもどし)」という制度があります。これは遺産分割の計算時に、計算のベースとなる故人の財産に生前贈与を足す(戻す)ことを意味します。

しかし、親としては独立開業資金を提供するのは、その息子への特別な思いから応援するためであり、全体の相続とは切り離して欲しいと考えたとしましょう。さて、それを実現する方法はあるのでしょうか。

答えは「あります」。やり方は簡単。「生前贈与した息子の独立開業資金は遺産分割の対象となる相続財産とは無関係にすること」を「遺言」に意思として残せばいいのです。これを「特別受益の持戻しの免除」と言います。

[SK012:相続]特別受益がある場合の相続計算

特別受益を受けた人は故人の財産の一部を既にもらっていることになります。ですからその特別受益分だけその人の相続分が少なくなるように相続計算をします。

 

★特別受益がある場合の各人の相続計算式

(「相続開始時の故人の財産」+相続人全員の「生前贈与」)×法定相続割合-自分の「特別受益」

 

さて、上記の計算式には「遺贈」が書かれていませんが、これはどういうことなのかわかりますか。

そうです。遺贈は「相続開始時の故人の財産」に含まれているから書かれていないのです。ここが生前贈与と遺贈の扱いの違いです。

生前贈与は持戻し(もちもどし)として最初に足しますが、遺贈は最初に足しません。なお、式の最後で引いている「特別受益」にはもちろん「生前贈与」も「遺贈」も該当します。

 

★計算のポイント

・「生前贈与」は、最初に足して、最後で引く

・「遺贈」は、最初になにもせず、最後で引く

 

特別受益がある場合の相続計算は、過去の行政書士試験でも出題されたことがあります。受験される方は上記のポイントをチェックしておきましょう。

[SK011:相続]生前贈与と特別受益

生前贈与とは、言ってみれば「遺産の前渡し」です。ですからこれを無視して単純に法定相続の割合に応じて遺産分けを行ってしまうと、結果として不公平な相続となってしまいます。

そこで生前贈与は「遺贈」と同じく、「遺産分割前に故人から特別にもらった財産」すなわち「特別受益」として扱うこととし、相続計算時にそれを考慮します。

 

★特別受益にあたるもの

・生前贈与

・遺贈

[SK010:相続]生前贈与

相続は法定相続の割合に応じて行われるのが原則です。しかし現実として、親は自分が亡くなる前に、息子のうちのひとりにだけ住宅購入資金の一部を援助したり、娘のうちのひとりにだけ結婚する際の持参金を渡すようなケースが往々にしてあります。これらのケースを「生前贈与」と呼びます。

生前贈与は「婚姻や養子縁組のためもしくは生計の資本としての贈与」を指します。例えば生前贈与にあたる行為とあたらない行為は以下の通りです。

★生前贈与にあたるもの

マイホーム購入資金、開業資金、農家での農地、結婚の持参金

 

★生前贈与にあたらないもの

日々の生活費、学費、遊興費(競馬・パチンコ代)

 

上記で生前贈与にあたるとされているケースでも金額があまり高額でなかった時には、特別受益にあたらないと判断されることがあります。また、その逆のケースもあります。結局、実務上では金額が高額であるかどうかが最初のチェックポイントになっている場合があるというわけです。

[SK009:相続]遺留分減殺請求と民法964条

ある人の遺留分が侵害されている内容の遺言書で遺贈があった場合でも、遺言書の通りに財産は振り分けられます。自分の遺留分を侵害された人は、遺留分の侵害を知った時から一年以内に「取り戻す」ことを請求(「遺留分減殺請求」という)することで、遺留分を取り戻すことができます。

さて先日、「遺留分を侵害している遺言書はそもそも民法964条により無効なのではないのか」とのご質問を受けることがありました。これは遺贈を定めた同条条文の但し書きにある「~ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。」の記述の解釈に関するご質問でした。

実はこの但し書きがまさに「遺留分減殺請求」を認めている部分となります。なので遺言書自体の有効無効を示したものではありません。実務上でも、遺留分を侵害している遺言書を添付して所有権移転登記の申請をしたとしても問題なく受理されます。

[SK008:相続]遺留分の割合

遺留分は「被相続人の財産の二分の一(直系尊属のみが相続人の場合は三分の一)を法定相続分で配分したもの」です。少し細かいですが、遺留分を計算する際の「被相続人の財産」には原則として「生前贈与」などの「特別受益」も含めます。そして主張できる相続人は「配偶者(夫や妻)」「子(代襲者も含む)」「直系尊属(親など)」だけであり、「兄弟姉妹」には遺留分がありません。

これを相続人の組み合わせ別でみると、

・配偶者のみ ・・・遺留分は[1/2]

・子のみ   ・・・遺留分は[1/2]

・配偶者と子 ・・・遺留分は[1/4](配偶者)、 [1/4](子)

・配偶者と兄 ・・・遺留分は[1/2](配偶者のみ)

・配偶者と父親・・・遺留分は[1/3](配偶者)、 [1/6](父親)

と、なります。

[SK007:相続]遺留分制度の概要

相続人となるべき人は法律で明確に定められていますが、「遺言」を残すことによって相続人以外の人にも財産を与えることができます。さらに遺言で残す財産の範囲も本人の自由となっています。

すると相続人のうちの誰かだけをえこひいきしたり、極論すれば相続人でもない他人(例えば愛人や知人など)に全財産を与えてしまうような事も起こりえることになります。しかしそれでは残りの相続人、例えば「残された家族」がお金に困り路頭に迷うことにもなりかねません。

そこで民法ではもともとの相続人(一部例外あり)が、ある程度の相続分を取り戻すことができるような制度を用意しました。これを「遺留分」制度と呼びます。

[KQ007:建設業許可]建設業29業種

建設工事の種類は建設業法により定められています。平成30年8月時点では、2種類の「一式工事」と27種類の「専門工事」の計29種類が定められています。

<一式工事(2種類)>

土木一式工事 (土)
建築一式工事 (建)

 

<専門工事(27種類)>

大工工事 (大)
左官工事 (左)
とび・土工・コンクリート工事 (と)
石工事 (石)
屋根工事 (屋)
電気工事 (電)
管工事 (管)
タイル・れんが・ブロック工事 (タ)
鋼構造物工事 (鋼)
鉄筋工事 (筋)
舗装工事 (舗)
しゅんせつ工事 (しゅ)
板金工事 (板)
ガラス工事 (ガ)
塗装工事 (塗)
防水工事 (防)
内装仕上工事 (内)
機械器具設置工事 (機)
熱絶縁工事 (絶)
電気通信工事 (通)
造園工事 (園)
さく井工事 (井)
建具工事 (具)
水道施設工事 (水)
消防施設工事 (消)
清掃施設工事 (清)
解体工事(解) (※)

(※)「解体工事」は平成28年6月1日以降に追加された専門工事

 

一定規模以上の工事を請け負うためには、上記の工事の種類ごとに別々の許可が必要となります。例えば「石工事」と「タイル・れんが・ブロック工事」や、「電気工事」と「電気通信工事」などはそれぞれ似ているように感じるかもしれませんが別の業種です。請け負う工事の内容と必要となる許可の種類を間違えないように気を付けましょう。

また、お客様からよく「一式工事の許可だけ取れば、残りの専門工事の許可は取らなくても、すべての業種の工事を請け負うことができるんですよね?」と訊かれます。答えは「いいえ」です。一式工事は専門工事を内包しているわけではありません。一式工事の「一式」という言葉に惑わされないようにしましょう。