[ZD002:雑記]お茶席でのひととき

昨日、横浜のデパートでお茶席が設けられていたので参加してきました。

お茶席は表千家である神奈川長生会の先生方によって楽しい雰囲気の中で行われました。大変人気のある催し物なので今回も長蛇の列でした。それでもなんとか40分ほど並んで参加することができました。

↓今回も多くのお客様で賑わっています。

 

参加者は16名ずつの入れ替え制です。入れ替えの合間に毎回、先生が床の間の芙蓉を丁寧に生け直していました。時折、両手をこすり合わせて温めた手のひらで芙蓉の花を包み込んでいました。そのしぐさが美しかったです。

↓先生が慈しみながら芙蓉の花を生けています。

 

今回は、この芙蓉についてお茶席の講話でお話されていたことを、一つご紹介します。

芙蓉はその日の一番のお茶席で宗匠がお客様をもてなすときに生けることが多い重要な花なのだそうです。その時の芙蓉は、お弟子さん達が朝のうちに何本も切って水を張った桶に切り口を浸して用意しておきます。しかし、生け花にすると長持ちしない弱い花なので、たくさん用意してきてもお茶席の時間まで元気でいてくれるものはなかなかありません。かといってお茶席の直前に切ってきてもお茶席の間に徐々にしおれてしまいます。

それなのに、あるお弟子さんが用意してくる芙蓉だけは、いつもお茶席の時間中、なぜかずっと元気でした。不思議に思った講話の先生はその秘訣をこっそりとそのお弟子さんに教わったそうです。

「芙蓉は季節に関わらずその日の朝5:30きっかりに取りに行きます。その際に気を付けているのは、よく咲いている花は決して選ばないこと。花が膨らむ直前のつぼみが一番いいですね。そして切り取った花をすぐに花瓶に差します。すると花瓶の中でさらに成長を続けるので、お茶席の時間あたりでちょうど花が咲くというわけです。」「完成した花を切り取って持ってくるのではなく、ちょうどお茶席のときに自分の力で花を咲かしてもらうイメージです。」

こんな感じで興味深い講話にうなづきながら、濃いめのお抹茶と上品な甘さの主菓子(おもがし)をいただきました。有意義なひとときでした。

↓主菓子。中はこしあんです。お抹茶によく合います。

 

↓立礼(りゅうれい)でお抹茶をたてていただきました。

 

↓宗匠が90歳の時に、茶会で90個の茶器を用意したとの逸話も。