[SG004:行政書士試験]詐害行為取消権

今回は民法424条の『詐害行為取消権』についてのお話です。

詐害行為取消権とは、おカネを借りた人(=債務者)が返済の資力があるにも関わらずおカネを返さない、それどころか「どうせおカネを返すくらいなら息子にでも財産を譲って資産を無くしてしまえ」などという詐害意思をもって資産を減少させた場合に、おカネを貸した人(=債権者)が異議を唱え、その行為を取り消して債務者の資産の減少を防ぐことができる権利のことです。

ただし、なんでもかんでも取り消しできるわけでありません。例えば「財産が減るから認めない」という理由を無理やりつけて、債務者の結婚を債権者が取り消しできるとしたら大変です。ですから、詐害行為取消権の対象となる行為は「財産権を目的とする法律行為」に限定されています。もちろん結婚という身分行為には及びません。そして例え財産権を目的とする法律行為であっても、返済資力の確保に支障のない行為であれば、これも詐害行為取消権の対象外です。

さて、ここで問題です。「遺産分割協議」は詐害行為取消権の対象となるでしょうか。例えば自分が借金したあとに親が他界して、親の財産を相続することになったときに「遺産が入ってきてもどうせ借金の返済でみんな持っていかれるから」と考えて、遺産分割協議でわざと自分への相続分をゼロにしてしまえば債権者から逃げ切れるか、という問題です。

答.詐害行為取消権の対象になる
判例は「遺産分割協議もその性質上、財産権を目的とする法律行為であるということができる」としています。