需要より供給が不足している時には供給側の値段が上がります。ですから現在のように労働人口が足りない状況下では、企業は賃金や職場環境などの待遇改善を積極的に進めないと、いい人材がなかなか集まりません。
もちろん待遇改善にはコストがかかり簡単にはできません。しかし賃金を抑えたいからといって外国人労働者を国外から招き入れてばかりですと、今度は社会保障などの国家システム全体への影響が大きくなり過ぎてしまいます。
それではどうすればよいのでしょうか。
ここで久留米大学の塚崎公義教授は、『日本の労働力不足を解消するためには安い外国人労働者を増やすよりもむしろ、日本人の賃金を上げる方が効果的である』と唱えています。これには一瞬「??」となるかもしれませんが、ご紹介すると次の通りです。
塚崎教授が唱える本来のあるべきサイクルとは、
①企業の内部留保ばかりが増えて、賃金が上がらないのはおかしい
②政府が強制的に最低賃金を上げる
③高い賃金を支払えない企業が徐々に淘汰される
④企業努力の結果、生産性の高い企業が生き残る
⑤③の企業で働いていた労働力が④の企業に流れる
⑥賃金が高止まりで維持される
⑦生き残った企業間でさらに高いレベルの競争が起きる
⑧企業はより良い製品やサービスが提供できるようになる
⑨徐々にインフレ傾向になり景気が上向く
⑩需要が高まり設備投資や雇用がますます増える
⑪企業の生産性がさらにUPし企業体力もUPする
⑫さらに高い賃金で優れた人材を確保でき国際競争力があがる
⑬日本経済が継続的に活性化される
安い労働力を求めすぎると日本経済の活性化が遅れ、結果的に経営者にとっても好ましくない状況になるのかもしれません。