[SK034:相続]配偶者への自宅の贈与・遺贈が変わります(後妻の相続権)

この度の民法改正により、2019年7月1日からは配偶者への自宅の贈与・遺贈が特別受益の持戻しの対象外になりました。

言い換えると、今回新たに導入された遺産分割の特例措置により、夫を亡くした妻は遺産分割の際に自宅を手放すことなく、安心して遺産相続をすることができるようになった、という事です。

しかしこれでは、夫が後妻を迎えていた場合、別の問題が懸念されます。例えば次の場合はどうでしょう。

ここに夫婦と息子ふたりの4人家族があります。ある日この夫婦が離婚をして妻が出て行きました。そして夫はすぐに若い後妻を迎えました。このあと夫はこの後妻に家を生前贈与し、ほどなくして亡くなくなりました。

さて、ふたりの息子たちからすると心中穏やかではありません。なぜなら今回の法改正による遺産分割の特例措置では、妻が夫から贈与された自宅は遺産分割協議の対象外です。息子たちからすると、急に現れた血の繋がりもない若い後妻に自宅を丸ごと持っていかれてしまうと思ってしまうのも無理ありません。実際、遺産相続で揉めやすいのはこのケースです。

そこで今回の法改正では対策が取られています。今回の遺産分割の特例措置は結婚期間が20年以上であることが条件となっています。

よって上記の事例でも、後妻の結婚期間が20年以上にならない限り特例措置の対象とはならず、自宅も含めて相続人全員で遺産分割を行わなければならない、という事になります。