昨年2018年7月6日に『民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律』が成立しました。この法律は相続手続の改正法で、(一部を除き)2019年7月1日が施行日となっています。いよいよ来月からスタートです。
この改正法の特徴をひとことで言うと「超高齢化社会を見据えた充実の配偶者優遇措置」です。
例えば『居住用不動産の贈与などに関する優遇措置』。これは婚姻期間20年以上の夫婦間の場合、居住用不動産の生前贈与・遺贈を遺産の先渡しと取り扱う必要がなくなる、という新しい措置です。
それでは法改正前の相続では、自分の死後に妻が住む場所に困らないようにと考えた夫が「生前に妻へ家を贈与した」場合、どうなるのでしょうか。実はこの場合、「遺産の先渡し」としてこの家も相続計算に「含まれて」しまいます。
するとこの場合、「妻は生前贈与を受けた” 家 ”という相続財産を先に貰っている」ことになります。となると、その分、その他の預貯金などの相続財産が少なくなります。そのため妻は生活費などに困り、結局夫から生前贈与までしてもらった家を手放さねばならなくなることもありました。
それが今回の法改正では、妻が生前贈与を受けた居住用不動産は(条件を満たせば)相続計算の対象とならなくなったので、妻にとっては生前贈与された家が原因で預貯金の相続分が減ってしまうような事がなくなりました。