[GH003:行政書士業務]債権譲渡の事例

事例から見ていきましょう。

Aが居酒屋で見知らぬ男Cから暴行を受けて全治一か月の大けがをしてしまいました。そこでAはCに対し治療費を請求しました。しかしCはその請求を無視し謝罪にも見舞いにも訪れません。AはCを裁判で訴えようとも考えましたが、訴訟をするには体力的にも財力的にも厳しいので泣き寝入りするしかありません。Aの父親であるBがAのお見舞いに来た時にその話を聞き大変怒りました。そしてBは息子のAに対し「お前に代わってワシがCを訴えてやる!」と言いました。

さて、ここで問題です。このような場合に直接の被害者ではないBがAに代わってCを相手に訴訟を起こすことはできるのでしょうか。

 

答は「できる」です。

理由はいろいろありますが、民法466条で規定されている「債権譲渡」を根拠とする説があります。債権譲渡とは文字通り、債権を別の人に譲り渡すことができるというものです。おカネに限らず原則としてどのような債権でも債務者の了承なく譲渡の対象にできます(ただし、漫画家に漫画を描かせるようなその人でなければ意味のない債権や、譲渡禁止特約のある債権などは譲渡できません)。

さて、Cから暴行を受けたAは、Cに対して訴える権利(民事訴訟法における請求権)があると言えます。この権利はれっきとしたAのCに対する債権です。そして債権である以上、AがCに対して訴訟を起こす権利も債権譲渡の対象とすることができます。

よって「お前に代わってワシがCを訴えてやる!」と言ってくれた父親Aに対して息子Aが「僕の代りにCを訴えて」とお願いすることも法律上可能という事になります。

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