[SK054:相続]名義変更を忘れずに

明確な期限が設けられていないことが多く、つい後回しにされてしまいがちなのが相続に伴う各種名義変更です。

例えば金融機関の場合、口座名義人が死亡すると全ての取引を停止させてしまいます。このままですと相続した預貯金が下せないばかりか、意図しない公共料金の滞納などにも繋がってしまいます。さらにそのまま放置しつづけているうちに次の相続が発生してしまい相続人や関係者が増えてしまうと、遺産分割がさらに複雑になってしまいます。

特に預貯金口座を相続したら速やかに名義変更あるいは解約して払戻しを受けるようにしましょう。

[SK053:相続]『共有分割』による遺産分割

遺産分割の方法は大きく分けて4つあります。『共有分割』もその一つです。

共有分割とは、ひとつの財産を複数の相続人で共有する相続方法です。主に別荘などの不動産に用いられます。各相続人は各自の持ち分の範囲内で使用・収益することになります。

共有分割のメリットとしては、①物理的に分離しにくい財産を手軽に分割相続できる②各相続人に公平な分割ができる③相続財産を現物そのままの状態で残せる、などが挙げられます。

逆に共有分割のデメリットとしては、①利用や処分が持ち分により制限されるので他の共有者の存在を念頭に置いた財産管理が必要になる②次の相続などで共有者が増えるたびに権利関係が複雑化していく、などが挙げられます。

このようにマイナス面も大きいため、後の事を考えると、共有分割には少し慎重になった方がよいでしょう。

[SK052:相続]『換価分割』による遺産分割

『換価分割』とは相続財産を金銭に換えてから遺産分割する方法です。そのままでは分配しにくい家屋や土地を売却し現金化しておくケースなどが考えられます。

換価分割のメリットは、相続財産をおカネに換算することでその分配が容易となる点にあります。現物を分ける方法では、なにかと利害の衝突が起こりやすいものです。

逆にデメリットとしては、手間や費用が余計にかかってしまう点が挙げられます。例えば売却するにもそれなりの手続きやコストがかかりますし、その売却益に対しても所得税や住民税が課税されてしまいます。また現物を手放すことになるのでそれがデメリットになる方もいるでしょう。

換価分割を上手に活用して、相続人全員が納得できる公平な遺産分割を行いましょう。

[SK051:相続]『現物分割』による遺産分割

公平な遺産分割を行うためにはいくつかの方法があります。『現物分割』もそのうちの一つです。

現物分割とは、『個々の財産をそのまま各相続人に分配する』遺産分割のことです。最も原則的な方法であり、各財産を各人に振り分けるだけなので一番イメージが湧きやすい方法でしょう。例えば「家は妻に、銀行預金は長男に、車は次男に、絵画は長女に…」のような感じです。

ただ現実としては、この方法だけで相続人全員が納得できる公平な遺産分割ができることはまれであり、その他の方法も組み合わせることになるのが通例です。

[SK050:相続]遺産分割の4つの方法

遺産分割においては、分割しやすい財産も有れば、分割が難しい財産も有ります。

たとえば現金。これは複数の相続人で分割することが容易な財産といえるでしょう。

では自宅の土地や建物、あるいは事業資産ではどうでしょう。これらは説明するまでもなく簡単には分割できそうにないことは想像に難くありません。

財産を公平に分けるために、遺産分割にはおもに4つの方法があります。それが、「現物分割」、「換価分割」、「代償分割」、「共有分割」と呼ばれるものです。

[SK049:相続]遺産分割協議の前提

遺産分割協議を行うための前提には二つあります。

ひとつめは『相続人をもれなく確定すること』です。

遺産分割協議には相続人『全員』が参加しなくてはなりません。相続人と言えば配偶者や子などがまず思い浮かびますが、他にも様々な相続人がいることがあります。例えば包括受遺者(財産を特定せずに包括的に遺贈を受けた人)は相続人に含まれますし、相続人に未成年者がいる場合には特別代理人も選任しなければなりません。このように『全員』と一言で言っても環境の違いによって様々なケースがあります。なお全員参加といっても、全員が一堂に会する必要はありません。電話連絡などでも大丈夫です。

ふたつめは『相続財産の範囲と評価額を確定すること』です。

全ての相続財産について評価額が必要です。評価方法に決まりはありません。各自、客観的な資料などを持ち寄ることで最終的な評価額を決定することになります。とにかくまずは全員で協力してすべての相続財産をテーブルの上に載せてから協議を始めましょう、というイメージです。

協議が整いましたら遺産分割協議書を作成することになります。

[SK048:相続]遺産分割協議の概要

相続人が複数人いる場合、一部の相続人だけで勝手に遺産を分けてはいけません。相続分に応じて各相続人に遺産が分配されなくてはなりません。このことを『遺産の分割』と言います。

遺産の分割にあたっては、遺言書があって誰に何を相続させるかが明確に書かれていればそれに従うだけで済みます。しかし遺言書自体がなかったり、遺言書はあるものの具体的に何を相続すればいいのかがよく分からない場合もあります(「私の財産は家族全員で均等に分けなさい」のような遺言書)。

このような場合には、相続人全員が話し合うことによって分配する財産を決定することになります。この話し合いが「遺産分割協議」です。

[SK047:相続]高層マンション購入による相続税対策の注意点

近年、土地評価額の算定方法に着目した相続税対策として『現金の代わりに高層マンションを購入すると相続税が安くなる』といった話が知られるようになりました。しかしそれにはもちろんお得な面だけでなくリスクもいろいろあります。

高層マンション購入による相続税対策の注意点は例えば次のようなものが挙げられるでしょう。

まず最初に、相続税対策で購入したマンションがその後に高く売れるとは限りません。しかも建物は経過年数が増えていくと価値が下がり続けてしまいます。

次に2017年度の税制改正でマンションの高層階の固定資産税が高くなりました。これによりせっかく高層マンションを購入して相続税を下げたとしても逆に固定資産税が上がってしまうケースがあります。さらに今後はこのような節税対策に対抗するために相続税自体も見直されるかもしれません。

しかもマンションのような不動産は現金と違って分けられません。そのため相続人同士のトラブルの原因になりやすいという一面もあります。

もともとこの方法は、富裕層の抜け穴的な位置づけである面が大きく、様々なリスクもあります。話のタネにはいいですが、一般的にお勧めするものではないと思います。

[SK046:相続]高層マンションの相続税

『相続税対策のためには高層マンションの購入が有効である』という話を聞いたことはないでしょうか。

確かにこの方法で節税対策になることがあるのは事実です。その大まかな理屈は次の通りです。

不動産には評価額があります。これを『不動産評価額』といいます。不動産評価額は『建物』と『土地』のそれぞれの評価額を合算したものです。

ここで重要なのは土地の評価額の算定方法にあります。自分の持ち分の土地は狭ければ狭いほど土地の評価額が低く算定されるのでそのぶん税金が安くなります。

一戸建て住宅の場合、敷地全部が自分の持ち分となります。しかしマンションの場合は違います。

マンションの場合、敷地を戸数で割った広さだけが自分の持ち分となります。仮に20戸のマンションであれば敷地全体の20分の1だけが自分の持ち分です。

さらに戸数が100戸や200戸もある高層マンションではより細かく分割され、土地の評価額が100分の1や200分の1となります。そのため税金がさらに安くなるはずである、という理屈です。

しかし、この方法は様々なリスクを伴う事も事実です。相続税対策としてより、自宅購入の際に一戸建てかマンションかの選択に迷った時の判断材料のひとつとしてぐらいに捉えた方がよいでしょう。

[SK045:相続]相続税の基礎控除額

相続税には申告不要(相続税がかからない)金額の範囲が設定されています。これを『基礎控除額』と呼びます。

基礎控除額 = 3,000万円+法定相続人数×600万円

例えば遺産が5,000万円あったとします。この5,000万円全額が相続税の課税対象となるわけではありません。仮に法定相続人が息子一人だった場合、上記の計算式に当てはめると、基礎控除額は、3,000万円+600万円=3,600万円となります。すると相続税の課税対象額は5,000万円ではなく、5,000万円から3,600万円を差し引いた1,400万円だけとなります。(なお、1,400万円をもとに実際に計算すると相続税は160万円となります。)

現在の基礎控除額の計算方法は2015年改正後のものです。昔はもっと基礎控除額が大きかったのですが残念ながら減額されてしまいました。とはいえ、今でも大きなメリットであることに変わりはありません。簡単に計算できますし基礎控除額は早めに把握されておくことをお勧めします。