ある人の遺留分が侵害されている内容の遺言書で遺贈があった場合でも、遺言書の通りに財産は振り分けられます。自分の遺留分を侵害された人は、遺留分の侵害を知った時から一年以内に「取り戻す」ことを請求(「遺留分減殺請求」という)することで、遺留分を取り戻すことができます。
さて先日、「遺留分を侵害している遺言書はそもそも民法964条により無効なのではないのか」とのご質問を受けることがありました。これは遺贈を定めた同条条文の但し書きにある「~ただし、遺留分に関する規定に違反することができない。」の記述の解釈に関するご質問でした。
実はこの但し書きがまさに「遺留分減殺請求」を認めている部分となります。なので遺言書自体の有効無効を示したものではありません。実務上でも、遺留分を侵害している遺言書を添付して所有権移転登記の申請をしたとしても問題なく受理されます。