[SK018:相続]限定承認

相続には2種類の方法があります。そのうちのひとつが「限定承認」です。

限定承認とは、通常の相続(単純承認)のようにすべての財産をひとまとめに受け継ぐものではなく、相続財産の範囲内でのみ債務を弁済する相続方法です。

これだけでは分かりにくいかと思いますのでもう少し説明をします。相続には預金や土地などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産もあります。通常の相続ではこれらプラスの財産もマイナスの財産も相続人が引き受けることになります。しかし、故人の財産にマイナスの財産がどれくらい含まれているかというのは、以外と相続した人にもわからないことがあります。多額の借金をしていたにもかかわらず、故人がこのことを家族にも話していなかったというのはよくある話です。

こんなときに限定承認を選択すれば、相続財産の範囲内でのみ借金を弁済すればいいことになります。たとえば借金が1億円あっても、相続財産が100万円分しかなければ100万円だけ返済すればいいのです。これが単純承認の場合、相続人は自分がもともと持っていた固有財産を使ってでも一億円全てを返済しなければなりません。このように「限定承認には相続人の固有財産が守られる」という大きなメリットがあります。

このように限定承認は相続人に大変有利な制度です。手続きや概念がややこしいので敬遠されがちですが、いちど検討されてみてはいかがですか。

[SK017:相続]単純承認

相続には2種類の方法があります。そのうちのひとつが「単純承認」です。

単純承認とはいわゆる通常の相続です。亡くなられた人の財産を丸ごと相続した人たちが受け継ぎます。

ここで注意しなければいけないのが、受け継ぐ財産というのは必ずしもプラスの財産ばかりではないという点です。たとえば亡くなった方が借金をかかえていた場合、そのマイナスの財産も相続人は受け継ぐことになります。

言い換えると、プラスの財産とは「権利」、マイナスの財産とは「義務」ということになります。これらをまとめて引き継ぐのが単純承認による相続です。

自分が相続人になったことを知った時から3カ月以内の期間を「熟慮期間」と言います。何もせずに熟慮期間を過ぎると自動的に単純承認したことになります。

この単純承認についてはよく生じるトラブルがあります。それは、上記の熟慮期間中に相続財産を売却、消費、贈与などの処分をしてしまった場合です。

この場合、たとえ一部の財産を処分しただけであったとしても単純承認したとみなされてしまい、相続放棄ができなくなってしまいます。つまり、このあと仮に相続財産に多額の借金が見つかったとしてももはや相続放棄できないのです。

熟慮期間中の財産の処分については十分注意しましょう。

[KQ011:建設業許可]財産的基礎

建設業許可を受けるためには人的要件の他に「財産的基礎」も要求されます。財産的基礎とは一定水準以上の規模の建設業を継続的に営むことができるであろう資金力の事であり、一般建設業許可と特定建設業許可で要件が異なります。

 

◆一般建設業許可における財産的基礎要件

1.500万円以上の自己資本

2.500万円以上の資金調達能力

3.建設業許可業者として直近過去5年間の営業継続の実績

上記1.~3.の全てを満たす必要はなく、いずれかひとつの要件を満たせばOKです。

1.は直前の決算書で証明します。2.は金融機関発行の残高証明書で証明します。3.を満たしているのであれば免許の更新にはこの要件を使うと良いでしょう。

なお、特定建設業許可は財産的基礎要件が厳しい割には必要とされる機会が多くありません。まずは一般建設業許可を申請することをお勧めします。

[TS006:宅建試験]宅建業法の確認テスト

毎年50問出題される宅建試験。そのうち宅建業法が占める割合は20問!全体の40%といえばかなりのウェイトです。そこで今回は宅建業法で頻出の基本知識からの問題です。最終盤のこの時期、即答できるかどうか、日頃の学習の成果をチェックしてみましょう。

 

以下の各文章について宅建業法上の正誤と理由を答えなさい。

 

問01.登記名義人は37条書面(契約書面)に記載する必要がない

答.〇 登記名義人は35条書面(重要事項説明書)の記載事項

 

問02.契約の解除について定めなかったので35条書面にその旨を記載したが37条書面には記載しなかった

答.〇 契約の解除は37条書面では相対的記載事項

 

問03.1億円の完成宅地の売買契約において手付金を1千万円とした場合、保全措置が必要である

答.× 完成物件の手付金は、代金の10%もしくは1千万円を「超えた」場合に全額保全が必要

 

問04.債務不履行による損害賠償額の予定額が代金の10分の2を超えた場合、その予定額全額が無効になる

答.× 代金の10分の2を「超えた部分のみ」が無効となる

 

問05.消費税免税業者の宅建業者Aが、宅地1000万円、建物2160万円の税込物件を甲乙間で媒介した場合、Aが甲から受ける報酬は99万720円である

答.〇 ((1000万円+2160万/1.08)×3%+6万円)×1.032=99万720円

 

問06.A県知事免許の宅建業者がB県に支店を出したときは30日以内にA県知事に届けなければならない

答.× 国土交通大臣免許に免許換えしなければならない

 

問07.宅建業の業務停止処分後に自ら業務を廃止しても処分後5年間は宅建業の免許が受けられない

答.× 免許取り消し処分ではなく業務停止処分にすぎないので、免許は受けられる

 

問08.宅建業の営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者Aは、Aの法定代理人Bが2年前に宅建業法違反で過料に処せられている場合でも、宅建取引士の登録を受けられる

答.× 未成年者はもともと不可

 

問09.基準日に係る資力確保措置を怠り、またはその状況を届け出ない宅建業者は、当該基準日以後、新たな新築住宅の売買契約を結ぶことができない

答.× 当該基準日の翌日から50日を経過した日以後

[SK016:相続]後見制度

「後見制度」という言葉をご存知でしょうか。人はいつ何時、認知症や事故などによって物事を理解したり判断したりすることができなくなってしまうか分かりません。後見制度とはそんな時にその人をサポートする者を選任できる制度です。

後見制度は2種類あります。ひとつは民法に規定がある「法定後見制度」です。これは、認知症などにより事理を弁識する能力を欠く常況にある人について、ご家族の申し出により家庭裁判所が最適と判断したサポート者を選任する制度です。

もう一つの制度は「任意後見制度」です。これは本人が正常な判断能力を有しているうちに、将来自分が認知症になったときにサポートしてくれるように、自分であらかじめ信頼のおける人と契約を結んでおくものです。

「法定後見制度」は本人が認知症になった「後」の制度であり、「任意後見制度」は本人が認知症になる「前」の制度と考えると記憶に残りやすいかと思います。

[SK015:相続]高齢化社会と後見制度

総務省の発表によると、昨日(2018年9月17日)の「敬老の日」時点で、日本の総人口に占める70歳以上の割合が前年より0・8ポイント高い20・7%と過去最高となり、初めて2割を超えたとのことです。これは人数で言うと、前年より100万人増の2618万人となります。

現在でも既に世界一の高齢化社会を迎えている日本ですが、これからの20年でさらに高齢化が加速します。行政もこの急速な世の中の変化に危機感を募らせており、様々な対策を打ち出してはいるものの、充分な対応が困難な状況にあるということは、年金の話ひとつをとってみても明らかでしょう。

この超高齢化社会の時代に、ご自分の老後を行政にまかせっきりでは、あまりにリスクが大きすぎます。時間のあるうちに少しずつ老後の設計をして、自分の身は自分で守るべきだと思います。

とはいえ「何をどこに相談して老後の設計をすればいいのか分からない。」という方がほとんどだと思います。特に身寄りのない方の場合、「万一、自分が介護を要する状況になったりしたら誰を頼ればいいのだろう」と、より不安を感じるかと思います。

また最近ではご両親が元気なうちにご両親の老後の準備をしていきたいというご家族の方たちも増えてきているように思います。

そんなご相談を受けると、私の行政書士事務所では「後見制度」のご説明をさせていただいています。

後見制度は最近お客様も関心が高い業務です。とはいえまだまだ身近な制度というわけではないので、実際の制度までを把握されているお客様はほとんどいらっしゃいません。実際、後見制度はお客様ごとに内容が異なります。

後見人は「判断力が著しく低下した人の生活上の判断をサポートする人」なので、いわゆる介護者とは概念が異なりますのでご注意ください。

[KQ010:建設業許可]専任技術者

建設業許可の人的要件のうちのひとつに、「専任技術者」が挙げられます。専任技術者とは、施工工事に必要な一定の技能を持つ者といえます。専任技術者となれる者については建設業法7条で定めがあります。

★専任技術者となれる者

・申請する建設業につくことができる国家資格を持っている

・申請する建設業について指定された学科を卒業し、かつ実務経験もある

・申請する建設業にかかる建設工事について、以前働いていた会社などで10年以上の実務経験がある

 

専任技術者は建設業種ごとに、しかも各営業所ごとに必要ですが、一人で複数業種の専任技術者になることは認められています。どの許可を申請するかによって必要となる資格や卒業学科が異なるので注意しましょう。(詳細は国土交通省のホームページにある「指定学科一覧」を参照してください。)

[KQ009:建設業許可]経営業務の管理責任者

建設業許可を受ける際の「人的要件」として、「経営業務の管理責任者」が求められています。これは建設業法で定められています。では、経営業務の管理責任者とはいったいどのような人のことを指すのでしょうか。

経営業務の管理責任者とは、「建築業の」経営について熟知している経営責任者のことです。それにふさわしい人物かどうかはその適合基準により判断されます。

 

★経営業務の管理責任者の適合基準

①申請する建設業に関し5年以上経営業務の管理を経験していること

②申請する建設業以外の業種に関し7年以上経営業務の管理を経験していること

のいずれかが必要です。

 

また、管理責任者は常勤である必要があります。名前を貸しているだけで実体のない人物は認められません。常勤であれば社長や代表取締役ではない一般の役員でも認められます。

[DN001:内容証明]クーリング・オフ

特定商取引法にある「クーリング・オフ」制度。これは消費者がある一定の契約をした場合に、ある一定の期間内であれば、契約締結時にさかのぼって契約を解除することができる制度です。

ところでクーリング・オフというと、高齢者が、自宅を訪ねてきた悪徳業者にだまされて高額な商品を購入してしまったときの契約解除制度だというイメージが定着しているように思いますが、実はそれだけではありません。

英会話教室やパソコン教室、エステティックサロンや結婚相談サービスのような、長期継続的にサービスを提供し、かつその料金が高額になる取引もクーリング・オフの対象になります。

これらを「特定継続的役務提供」と呼びます。例えばエステティックサロンであればサービスの提供期間がひと月を超えかつ料金が5万円を超える取引がクーリング・オフの対象になります。

無料体験レッスンを受けにいっただけなのにいつの間にか言いくるめられて入会金30万円を支払って毎月3万円の12か月コースを契約してしまったが、家に帰ってよくよく考えてみると「なんでこんな高額な買い物をしてしまったんだろう」と後悔した場合などのイメージです。このような場合でもクーリング・オフができます。

このようにクーリング・オフは消費者保護に大変有効な制度ですが期間制限があり、「法律で定められた契約書面を受け取った日を含めて8日間」に限り可能です。さらにクーリング・オフは口頭ではできません。そして消費者と違って業者はその辺をよく理解しています。

ですから電話で「やっぱりやめたいんですが」などとキャンセルを申し入れても「今やめるとすごくもったいないですよ」「もう少しがんばってみましょう」などといって、なんとかして8日間のうちにクーリング・オフされないように、のらりくらりと引き延ばしをして解約書を送付してこない業者もあります。

このように解約が困難な場合はすぐに行政書士に「内容証明書の作成」を依頼しましょう。8日間経ってしまう前に「クーリング・オフが可能な期間内に契約解除の意思表示をした」ことを内容証明書に起こして内容証明郵便で業者に送れば間に合います。

これで原則としてクーリング・オフが成立し、業者は解約手続きを行なわなくてはならなくなります。結果、この高額な契約を最初からなかったことにし、全額返金を受けることができるようになるのです。

[KQ008:建設業許可]許可要件の全体構成

建設業は人々の暮らしにおける衣食住の「住」を担う重要な業種です。建設業は他の業種に比べ、ひとつの契約あたりの費用や時間が相当かかりますし、万一、廃業してしまうと関係者に与えてしまう損害も非常に大きくなります。

そのため建設業許可を取得するためには「人的要件」「財産的要件」「物的要件」のすべてを厳格に満たしている健全な建設業者であることを証明しなくてはなりません。

★人的要件

・経営業務の管理責任者

・専任技術者

・誠実性

・欠格要件に該当しない

 

★財産的要件

・財産的基礎

 

★物的要件

・営業所