[SK030:相続]配偶者居住権における修繕費と改築費

相続の新制度として2020年4月から始まる配偶者居住権。これは、相続対象の家を居住権と所有権とに分け、配偶者が居住権だけを相続できる制度です。この場合、家の所有権は別の共同相続人が相続します。居住権を持つ配偶者は所有権を持たずともこの家に住み続けることができます。(→[SK029:相続]配偶者居住権

さて、家に住み続けていると、様々な修繕・維持費がかかります。場合によってはリフォーム・改築などが行われることもあるでしょう。そこで問題となるのは、いったい誰がこれらの費用を負担することになるのかということです。

もし自分が所有する家に自分で住んでいるのであれば、家に関して自分が費用負担をすることに何の問題もありません。しかし今回は居住権と所有権が別の人のもとにあります。この場合の費用負担者は、以下のように考えることになっています。

<費用負担者>

●修繕・維持費    ⇒ 居住権を持つ者
●リフォーム・改築費 ⇒ 所有権を持つ者

なお、修繕・維持費とは屋根やトイレなど、もともと家として不可欠だったものが壊れてしまった時に、元の状態に戻す費用のことを指します。他方、リフォーム・改築費とは屋根にソーラーパネルを新設したりトイレをウォッシュレットに取り替えたりするといった、元の状態を超える価値を加える費用のことを指します。

[SK029:相続]配偶者居住権

このたび40年ぶりに民法が改正され、来年の2020年4月より『配偶者居住権』という相続制度が新たに開始されることになりました。

配偶者居住権は、遺産相続した配偶者の財産を保護する制度のひとつです。詳細は後述しますが、これまでの民法では例えば次のようなケースなどで問題が起こっていました。

例)夫が4000万円の家と2000万円の現預金からなる総額6000万円の財産を遺して死亡。夫には妻と子供が二人。妻は夫の家に同居。子供はふたりとも独立しており別居。遺言書は遺さなかった。

まずこのケースでは遺言書がないので民法で規定する法定相続分で遺産を分割します。法定相続分は妻と子供でそれぞれ半分ずつです。妻3000万円、子供3000万円(1500万円×2人)で相続します。

さて、妻は夫の死後もそのままその家に住み続けたいと思っていました。なのにここで子供達が自分達の法定相続分である3000万円を要求してきました。こうなってしまうと現預金は2000万円しかないので足りません。妻(すなわち子供達の母親)は仕方なく家を売って不足している1000万円を子供達に渡すはめになりました。このように相続によっては、妻は夫を亡くした上に住む家までも失くすという悲惨な事が実際に起こっていました。

そこで新設されたのが『配偶者居住権』です。これはまず相続財産の家を『居住権』と『所有権』の二つに分けます。居住権は住む権利、所有権は持つ権利です。そして例えば配偶者には居住権を、子供達には所有権を与えます。

こうすることで妻は家の所有権こそ失いますが、これまでと変わらず家に住み続けることができます。居住権は妻本人が亡くなるまで存続します。

それに家の所有権はあくまで子供達にあります。つまり子供達にとっても自分の母親に家を売らせて困らせたりすることなく自分たちの相続分を満たすことができます。まさにWin Winですね。

なお、総務省の指針によると、居住権の価格は主に配偶者の年齢を考慮した上で決定されます。年齢が高いほど居住期間が短くなるだろうということで居住権は安くなります。

[ZR006:雑記]第70回さっぽろ雪まつり

今年で70回目を迎えるさっぽろ雪まつり。念願叶ってついに訪れることができました。

新千歳空港。晴れていますがやはりひんやりとしています。
札幌駅前です。
宿にチェックイン後、調べておいた近くのラーメン屋へ直行。昭和41年創業のラーメン屋『大公』。昔ながらの味付けにホッとさせられます。おいしい!

腹ごしらえを終え、いざ、雪まつり会場となる大通り公園へ。事前にある程度調べていたので驚かないつもりでいましたが、いざ実物の作品群を目の前にすると、やはりそうはいきませんでした。巨大作品の迫力はもちろん、その他の作品群もそれぞれが実に精巧で芸術的センスが高く、とにかく圧倒されました。どの作品も作者の強い思い入れが感じられ、大変刺激になりました。

会場に到着すると、さっそく大きな建造物と大勢の観光客の姿が!これは期待できます。
近づいてみるとこんなに精巧にできています。
ちびまるこちゃんです。この作品は私のお気に入りです。
かわいらしくていきいきとしたまるちゃんの表情。雪の質感を上手に使っています。
チコちゃんです。常にひとだかりができていて写真を撮るのに一苦労でした。他にも紹介しきれないくらいのたくさんの作品が並んでいました。

夜になるとライトアップやプロジェクションマッピングがはじまります。昼間の静かな様子から一変。華やかな雰囲気に変化します。

巨大雪像。JRAの作品です。この後、プロジェクションマッピングでこの馬が走り出しました。
巨大雪像。人だかりができています。こちらもこのあと軽快な音楽に合わせてノリノリに動き出しました!
巨大雪像。JR貨物の作品です。実物大(?)の鉄道がトンネルから抜け出てきています。ご覧のようにプロジェクションマッピングで動きます。ストーリー性に富んだ内容が魅力的です。観客もみなさんくぎづけになっていました。
巨大雪像。スターウォーズです。左の方にいる外人さんと比較するとスケールの大きさがよく分かります。

楽しくてあっという間に半日が過ぎ、またおなかが空いてきました。北海道といえば、そう、やはり海鮮です!

寒さが厳しくなってきたところで、地元の料亭である『海鮮まるだい亭』へ。きれいなお店で個室もあり、居心地がいいです。
温かい蟹雑炊。ふーふー。外が寒すぎたので最初からこれ。身体が暖まり生き返りました。
刺身から揚げ物までいろいろと美味しくいただきました。この写真は地元ならではの新鮮な刺身です。

おなかが一杯になったところで、すすきのにある雪まつり会場へ。こちらは雪像ではなく氷像になります。

すすきのの街。遅い時間ですがまだまだ大勢の人達で溢れています。
趣向を凝らした作品が並んでいました。

翌日は雪の札幌となりました。この日は大通り公園の先にある札幌テレビ塔とその近くにある札幌市時計台を目指しました。

雪の札幌。少し風も出てきました。
大通公園では自衛隊のみなさんによる雪像の整備が行われていました。こうして見るとやはり大きい!
札幌テレビ塔を見上げたところです。
建物内部。テレビ塔のゆるきゃらである『テレビ父さん』があちこちで出迎えてくれました。
テレビ塔の展望室から下を覗き込むとこんな感じ。人々がまめつぶに見えます。
有名な札幌市時計台。高くて四角いビルに周りを囲まれており、とりわけ異彩を放っていました。
時計台内部にある塔時計の模型。複雑な歯車が巧みに組み合わさって実際に時計がチクタクと動いていました。
この日はかなりの寒さで、時計台の屋根にはつららが!
帰りの飛行機の窓から。夜景が美しいです。ありがとう札幌!また来ますね。

[SK028:相続]自筆証書遺言の検認の申立て

検認とは裁判所が行う、遺言書の検証手続きのことです。自筆証書遺言の偽造や変造を防止し、その存在を相続人達に通知します。検認の申立て手続きについては以下の通りです。遺言書を発見したら、まずは家庭裁判所に連絡しましょう。


<検認の申立て手続き>

申立先:家庭裁判所(遺言者の最後の住所地)

期限:遺言書発見後すみやかに

必要書類等:申立書、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、相続人目録、遺言書、申立人の印鑑、印紙代・切手代等

[PE007:Excel]表のタイトルを複数セルの中央に表示する

下の表では一列目にある表のタイトルが左端にきており、いまひとつ見栄えがよくありません。

そこで、A1セル~B1セルの中央付近にタイトル文字を配置し直したいと思います。今回はその方法をふたつお伝えします。

ひとつめは、対象の複数セル(今回の例ならA1とB1)を選択した状態で『セルを結合して中央揃え』ボタンを押す方法です。

この方法は最も手軽に複数セルの中央に文字を配置できます。しかし同時にセル結合をしてしまいます。セル結合は後で表を加工する際に崩れたりして結構邪魔になります。できれば使いたくありません。

そこでふたつめの方法です。対象の複数セル(今回の例ならA1とB1)を選択した状態で、マウスを右クリックし『セルの書式設定』を開きます。『配置』タブ内にある『横位置』のプルダウンメニューを開き、『選択範囲内で中央』を選んで『OK』を押します。

すると、タイトルを中央に配置することができました。

余計なセル結合が発生しないので、コチラの方法をお勧めします。

[TS007:宅建試験]用語の定義

『用語の定義』に関する過去問をアレンジしました。〇か×かで答えましょう。

 

問1.用途地域内の農地は宅地に該当する。

答1.○


問2.他人の所有する複数の建物を借り上げ、その建物を自ら貸主として不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、免許が必要である。

問2.× 自ら行う貸借は宅建業の取引に該当せず、免許不要。


問3.Bが自己所有の宅地に自ら貸主となる賃貸マンションを建設し、借主の募集及び契約をCに委託した場合、BもCも免許を受ける必要がある。

答3.× Bは自ら行う貸借なので免許は不要(⇒問2.)。Cは業として貸借の媒介をしており免許が必要。


問4.C社が乙県にのみ事務所を設置し、Dが丙県に所有する1棟のマンション(10戸)について、不特定多数の者に反復継続して貸借の代理を行う場合、C社は乙県知事の免許を受けなければならない。

答4.○ 丙県は関係なし。


問5.都市計画法に規定する工業専用地域内の土地で、建築資材置き場の用に供されているものは宅地に該当する。

答5.○ 『都市計画法に規定する工業専用地域内の土地』=『用途地域内の土地』なので、道路・公園・河川・広場・水路以外は全て宅地となる(⇒問1)。

[HM012:民法大改正]第九六条(詐欺又は強迫)<4/4>

民法第九六条(詐欺又は強迫)において、2項の第三者詐欺の成立要件と、3項の詐欺取消時の第三者保護要件が、それぞれ判例に沿った内容に修正されました。

<改正民法>
1.詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2.相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3.前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

<参考:改正前民法>
1.詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2.相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3.前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

96条は詐欺と強迫についての意思表示の取り消しに関する条文です。詐欺については、特に2項の第三者詐欺や3項の第三者保護規定が絡むと混乱しがちになりますが、強迫については特に改正もなく実にシンプルです。

これは条文を丁寧に読むと分かるのですが、1項には『詐欺又は強迫』と書かれているのに、2項と3項はわざわざ『詐欺』としか書かれていません。よって強迫については1項だけが適用されます。

よって強迫については、『強迫された本人は(相手や第三者の善意や悪意に関わらず)とにかく意思表示の取り消しができる』のです。

なお、今回の改正では2項と3項の詐欺についても過去の判例を反映しています。まずはざっくりと『詐欺にあった本人は以前よりもさらに保護されるようになった』と理解しておきましょう。

[HM011:民法大改正]第九六条(詐欺又は強迫)<3/4>

民法第九六条(詐欺又は強迫)において、2項の第三者詐欺の成立要件と、3項の詐欺取消時の第三者保護要件が、それぞれ判例に沿った内容に修正されました。

<改正民法>
1.詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2.相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3.前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

<参考:改正前民法>
1.詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2.相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3.前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。

例えば、相手方Aが本人Bに「Bの持っているここの土地は近い将来必ず値崩れする。その前に急いで売ったほうがいい。」と嘘をつきました。そして騙されたBはAと売買契約を結んでその土地をAに売り、Aへの所有権移転登記を終えてしまいました。しめしめと思ったAはその後すぐに第三者Cにその土地を転売し、Cへの所有権移転登記を終えてしまいました。その後、ようやくBはAに騙されていたことに気が付きました。

さてこの場合、BはAとの売買契約を取り消して、Cに渡ってしまった自分の土地を取り戻すことができると思いますか。

答は『Cの状況次第』となります。この場合(BがAに騙されていたという)事情についてCが『過失なく』知らなかった場合には、残念ながらBはAとの売買契約を取り消してCから土地を取り戻すことができません。これが96条3項です。とはいえ今回の改正でCが保護される要件は厳しくなっています。Cは単に知らなかっただけでは保護されず、『過失がなかった』ことも要求されるようになりました。

[PE006:Excel]ゴールシーク機能

ここは赤字に悩まされている弁当屋。看板商品は味自慢のコロッケ弁当。それなりに売れてはいるのですがまだまだ赤字です。いったい何個売れば元が取れるのかを知りたい。こんなときはゴールシーク機能を使うと便利です。

ゴールシーク機能は、表中の計算結果を先に決めてから数式を逆算させることで、数式の途中にある値のほうを書き換えます。損益分岐点を知りたい場合などに効果を発揮します。


下の表は先程の弁当屋のコロッケ弁当に関する一日あたりの収支です。

粗利を見ると‐33,000円の赤字です。ではいくつ売れば元が取れるのかをゴールシーク機能で調べてみましょう。

<操作手順>

①Excelの上部のメニューから[データ]をクリック

②[予測]→[What-If 分析]→[ゴール シーク]を選択

③[数式入力セル]には表の粗利の値が入っているセルを、[目標値]には損益分岐点となる粗利『0』を、[変化されるセル]には販売数の値が入っているセルを、それぞれ入力し[OK]

これでコロッケ弁当を231個売れば元が取れることが分かりました。

[SK027:相続]遺言書の開封

遺品整理をしていると仏壇の引き出しなどから遺言書が見つかることがあります。すぐ開封して中身を確認したいと思うでしょうが、少し待ってください。

まず最初に封書の裏をみて封印の有無を確認してください。もし封印がなければ開封してもよいのですが、封印がされていた場合には勝手に開けてはいけません(勝手に開封すると過料という罰則金が課せられてしまいます)。自筆証書遺言は家庭裁判所で検認の手続きが必要です。開封は家庭裁判所で行います。まずは家庭裁判所に連絡し検認の申立てを行いましょう。

なお、2019年1月13日以降は法改正により自筆証書遺言の作成方法や保管方法が一部変更されました(→[SK026:相続]自筆証書遺言の作成が楽になります)。そのため今後はこのような家庭裁判所による検認が不要になるケースも増えてくることでしょう。